NINJA250SLのフロントサスペンションスプリングを強化してみよう。
右鎖骨を折ってしまったのはよいとして(笑)、マシンを治さないと次のレースに出ることができません。
6月の筑波ツーリストトロフィーは残念ながら治癒のためにキャンセル、次のターゲットは9月の筑波ツーリストトロフィー。
鎖骨は勝手に治りますがバイクは治りません。その破損個所は・・・
- 右フロントフォークの曲り
- カウルステーひん曲り
- 右ハンドルのひん曲り
- カウルのガリ傷
くらいで、たいした破損はありませんでした。フルバンク状態でのスリップダウンでしたから、マシンは滑っただけですのでそれほどの破損は幸いにしてありませんでした。
この写真、この角度だとほとんど無傷に見えますよね・・・
治すだけでもまあよいのですが、4月の筑波ツーリストトロフィーで感じたスプリングレートの不足を解消しちゃいましょう!
カウルを外すのも一苦労
なにしろ転んで滑ってますので、化粧ボルトの頭が削れてヘキサゴンが入りません。
しかたないのでバイスプライヤで摘んで強引に回します。
ネジザウルス?
ありゃ、いいものなんでしょうがあんなものに頼る時点でなにか間違えている気がします。異論は認める。
NINJA250SLはにはアンダーフレームがありませんから、クランクケースを使ってフロントを浮かせます。
NINJA250SLが地上にあるうちに(?)、以下のボルトを緩めておきます。
- フロントアクスルナット&シャフト
同じく、以下を外しておきます。
- ブレーキキャリーパーのボルト
- アッパーカウル
- サイドカウル
- フロントフェンダー
次にレーシングスタンド前後を使用してNINJA250SLのタイヤを前後浮かせます。
そうしたらエンジンのクランクケース左右の張り出しの下に馬をかませ、フロントスタンドを抜き取ると・・・はい、簡単にフロントを浮かせることができます。
先ほどアクスルシャフト等のボルトは緩めていますから、簡単にホイールを外すことができます。
ここまできたら左右フォークを外すことなんて、造作もありませんね。
フォークトップキャップを外す
通常のバイク(NINJA250SLがまるで通常のバイクでないような言い方ですが)であれば、一つ手順が抜けていることにお気づきでしょうか。
そう、フォークトップキャップの緩め。
フォークトップキャップは通常きわめて細かいねじ山でインナーチューブにねじ込まれています。これを緩めるには、マシンにインナーチューブが組み付けられた状態で緩めないとやっかいなんですが・・・
NINJA250SLはフォークトップキャップがねじ式じゃあないんです。
え、なんだって??
そう、NINJA250SLのフォークトップキャップは
- フォークトップキャップを押し込んで
- Cクリップを外す
という作りなんです。これ、文字で書くと簡単に見えますがかーなり厄介です。なにしろ「フォークトップキャップを押し込んで」の時点で、ある程度力に自信がある男性が左右両手を使ってなんとか押し込める、という硬さ。
そして「Cクリップを外す」ためにはもう1本、手が必要というありさまです。もしあなたが「ジオ」のように隠し腕を持っているならともかく、一人でNINJA250SLのとフォークトップキャップを着脱するのは厄介です。
ということで今回試した方法はコレ。
油圧プレスで押してみました。え、そんなもの持ってないって?
意外に安いんです、はっきり言っておすすめです・・・!
12t 門型油圧プレス機
- コレ。なんと1万3500円なんです。
- 少々デカいですが、ガレージや自室に置いておけば本当に役立ちます。
- 曲がったパーツの修正にも威力を発揮。
- 正直安い分だけ作りはアレですが、素人作業には十分です。
これならば、安全確実にNINJA250SLのフォークトップキャップを押し込んで、両手を使ってCリングをじっくりと外すことができちゃいます。
外れました。こんなパーツ構成です。
カワサキさん、インナーチューブにねじを切るくらい大したコストじゃないでしょうに・・・
アウターチューブのボトムボルトを外します。大抵、ここで躓くわけです。
次に、インナーチューブとアウターチューブを分離します。
具体的には、アウターチューブの底にあるボルトを緩めます。
大抵の場合、インパクトレンチでダーッと回すとするっと抜けるんですが、NINJA250SLの新車(えへへ)の場合、ネジロック材のためか、緩んでもそれ以上抜けてくれませんでした。
ということで、特殊工具を作成します。それがコレ。
なんのことはない、ホームセンターで
- 対面17㎜の長ナット数個
- 10㎜のステンレスずん切りボルト
を組み合わせています。残念ながらNINJA250SLのフォークインナーパーツの共回り防止用のナット穴は対面16㎜なので、ちょいと削る必要があります。
私は(やや反則ですが)フライス盤とC軸を使用して加工しました。たぶん、手やすり等でゴリゴリ削っても作れると思います。作れば千円くらい。特殊工具は・・・いくらでしょう、たぶん高いとおもいます。
こいつをインナーチューブの上からつっこんでインナーパーツにはめ、ボトムボルトを回せば無事、ボルトを抜き取ることができました。
手こずった・・・
あとは勢いをつけてスコンスコン引っ張る。
右手にインナーチューブ、左手にアウターチューブを持って(別に逆でもいいんですが)、スコンスコン勢いよく引っ張ればスライドメタルとシールが抜け、見事インナーチューブとアウターチューブがお別れしました。
すべてのパーツをウェスでぬぐい、トレイに入れておきましょう。
インナーチューブを交換します。
外したインナーチューブに差し金を当てて計測・・・うん。いうまでもありませんがグンニャリ曲がっています。
あの程度の転倒でインナーチューブ曲がるかあ?
NINJA250SLは軽量化のためか、同寸法のNINJA250Rより肉が薄いインナーチューブを使用しているという情報をどこかで見たこともあります。
まあ、ここは軽量を優先とすることで、NINJA205RではなくNINJA250SLの純正品を使用しましょう。
カワサキは公式サイトの「パーツ検索」から、純正部品のパーツ番号を拾うことができます。パーツ番号さえ手に入ればバイク用品のオンラインサイトから通販できちゃいます。すごい時代になりました。
分解の逆の手順を行い、インナーチューブとアウターチューブ、インナーパーツ、ロックピースを組み付けます。
念のため、ボトムボルトのガスケットシールは新品に変えておいたほうがよろしいです。100円をケチって、こんな面倒なところからオイルが滲んだら悔やんでも悔やみきれませんから。
強化スプリングをインストールします。
せっかくここまでばらしたのですから、強化フロントサスペンションスプリングを投入しましょう。
いくつかNINJA250SLの強化フロントサスペンションスプリングはラインナップされているのですが、私はBEETを選択しました。
画面上が純正スプリング、下がBEETです。
正確なデータがないのがツラいとこですが、線径から見て10%前後のレートアップが期待できると推察されます。
15番のフォークオイルを入れます。
メーカー指定のフォークオイル量は、318cc。オイル種類は2F。
ん?なんだ2Fって?
抜いた感じではえらいことサラッサラでした。こちとら私のNINJA250SLはレーシングユースオンリー、ネットで情報を集めてちょい硬めの15番をチョイス。
オイル量はメーカー指定としてデータを集めましょうか。
座金とスペーサーを入れ、フォークトップキャップを取り付けます。
アフターマーケットのフォークスプリングによっては、付属品のカラーを使用する場合もありますがBEETのNINJA250SL用強化フォークスプリングはその指定がありません。
したがって、純正の座金とカラーをそのまま組み付けます。
そして、またフォークを油圧プレスにセットし、フォークトップキャップを装着します。
プリロードアジャスタ付けてもよかったんですが・・・。
フォークシールを取り付けて、完成です!
最後に忘れちゃいけない、フォークシールを組み付けます。
フォークシールの打ち込みもネットを検索するといろいろな情報があります、ハンマーで回しながらコツコツ入れる、塩ビパイプで打ち込む・・・。
でも、今はストレート等の激安工具ショップで安価に「フォークシールドライバ」が購入できてしまいますから、それを買ったほうが何かと楽です。
STRAIGHT フォークシールドライバ
- なんと4,430円。カワサキの純正特殊工具とほぼ同系。純正は1万円以上・・・
- 版権的にはどーなんでしょう?
- 正直安い分だけ作りはアレですが、素人作業には十分です。
この際、スライドメタルとオイルシールを同時に打ち込んで大丈夫です。少々力が要りますが。
完成です!
お疲れ様でした(笑
これでやわなNINJA250SLのフロントフォークも多少はびしっ!と決まるのでしょうか?
もちろんこれはライダーである私の巨体、そしてコーナリングフォースが公道とは比較にならないくらいかかるサーキットに合わせたセッティングです。
街乗りでこれら強化スプリングが必要かといえば、難しいところでしょう。
最後にポイントを一つ。
フォークオイルシールはもちろん取り付けますが、ダストシールは使用しません!
サーキットでは不要なモノです、少なからずフォークの動きをスポイルしますから、必ず機会を見て取り外しましょう!
とっても硬いワイヤーが入っていますから、フォークを抜かないと取り外せないのです。無理にニッパーでダストシールを切ろうとしてもニッパの刃が欠けるだけで失敗します(体験者は語る・・・)。
以上、本稿終了です。お粗末。