あなたの愛車を「サーキットマシン」に変えるなら、リアショックの交換は必須ですぜ。

 

サーキット走行を本気の趣味にしたい!しかも愛車で走りたい!

 

そう思うなら、ある程度のカスタマイズは必須です。しかも、見てくれの盆栽ではない、本気のカスタムが必要。

 

  • バンク角を確保し、確実なステップワークを行うためのバックステップ。
  • 軽量化と抜けの良さを確保するためのレーシングマフラー。

 

そして、もう一つ、三種の神器の最後の一つが

 

  • リアショック

 

です。

 

このリアショック(まあ、フロントも)の選択はあなたが走るスピード域によって「要求される性能」がまるっきり異なります。

 

また、比較的高額なアイテムですからおいそれとはトライアンドエラーを繰り返すわけにもいかず、いきおいネットでインプレをあさることになるのですが・・・

 

  • 乗り心地がよくなった!
  • ふにゃふにゃ感がなくなった!
  • しっかりと路面をとらえてくれる感じ!
  • コーナーでも踏ん張ってくれます!

 

そうじゃないの!

 

はっきり言いますが、最近のマシンなら、そして街乗りならノーマルショックで十分でございます。プリロードはまだしも圧ダンパ、伸びダンパの調整なんて街乗りでは不要。あれは決して乗り心地やら踏ん張りやらを満足させるためのデバイスじゃあありません。

 

そう、フルアジャスタブルサスペンションが威力を発揮するスピード域はもっともっと上にあり、それを発揮できるのはサーキットだけ、なんです。はい、異論は認めます。

 

そして我々が戦場とするサーキットでは当然、公道ではあり得ない走りをするわけでして、その領域ではやはりノーマルサスペンションでは問題があります。筑波1コーナー立ち上がりでボトムっちゃってリアが滑ったり、最終コーナーでピッチングが止まらなかったり・・・

 

そう、サーキットにはさまざまなコーナーがあり、それぞれのコーナーで戦うにはそれなりに性能が高く、それなりにアジャストできるサスペンションが必要です。

 


YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366

YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366 ニンジャ250SL

 


YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MSシリーズ】 MS366

YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MSシリーズ】 MS366 ニンジャ250SL


サーキットマシンに装着するリアサスペンションに求められる条件は?

では、どんなサスペンションを選べばいいのでしょう?

 

独断と偏見でいえば、以下が必要です。

 

  • 車高調整
  • プリロード
  • 圧ダンパ
  • 伸びダンパ

 

まあ、このあたりは大抵のリプレイスリアショックであれば付いてますよね。それ以外に、

 

  • レートの違うスプリングが選べること
  • オーバーホールができること

 

でしょうか。

 

ということで、ヤフオクで売ってるような正体不明のリアサスペンションは、不適なわけです。

 

さらに言えば、

 

  • 手ごろな価格であること

 

そう、リアサスペンションは、あなたがサーキットを走るならばシーズン毎・・・つまり毎年オーバーホールが必須です。必要に応じ数本のレートの異なるスプリングを用意して取り替える必要もあります。そう、高額すぎるリアサスペンションを無理してローンなんて組んじゃったりして手に入れても、性能を発揮させ続けることができないなんてこともあるわけです。

 

ということで、これらの条件を満たし、かつ意外にも(失礼)筑波を走るサンデーレーサー、しかも手練れのレーサーから一定の評価を得ているダークホース的リアショックが「YSS」なんです。

YSSとは?

 

YSS。

 

1983年にタイに最初の工場が設立された、比較的新しいサスペンションメーカーです。1988年に台湾のパートナーと協業を開始し、2001年にISO9002(品質管理)を取得。2005年にホワイトパワー等から技術者をヘッドハントし、この頃からレーシングサスペンションに力を入れ始めました。

 

日本ではPMCが代理店となり、企画・販売・メンテナンスを行っています。


YSSサスペンション、全景。

 

これは、比較的安価なモデルである「MX366」。

 

YSSのモノショックには

 

  • ラージボディの506(ピストン径50mm、ロッド16m)
  • スモールボディの336(ピストン径36mm、ロッド16m)

 

の2種類のボディがあり、そして4種類のグレードが用意されています。

 

  プリロード

圧ダンパ

伸びダンパ

車高調整

リザーブタンク接続方式

MG あり

高速:20段
低速:20段

60段 あり ピギーバック
MS あり

高速:20段
低速:20段

60段 あり ホース
MX あり 3段 60段 あり ホース
MZ あり なし 60段 あり なし

 

大きく異なるのは圧ダンパですね。高速/低速に分かれているか否か、そしてその段階が20段階か、3段階か。

 

個人的な意見ですが、サーキットにおける操縦性で重要なのは伸びダンパです。圧ダンパは伸びダンパの入れ方に合わせてバランスを取るくらい。各グレードの価格差がちょうど2万円ですから、2万円出せる方は「MSシリーズ」を、出せない方(ワタシ)は「MXシリーズ」をチョイスするとよいでしょう。

 

ワタシは、MX以上の機能を求めるならば、ナイトロンを奮発しますです。

 

ちなみに重量は2.2kgでした。


アッパー部。

 

さて、細部をじっくりとみてみましょう。

 

恐らく2017(ジュラルミン)削り出しのボディは、よくできています。見た目重視のカスタムであったとしても恥ずかしい思いはしないでしょう(金色じゃないけど)。

 

一応、メーカー曰く

 

ハウジング摺動面にオイルレスメタルを採用した最高級のロッドエンドベアリングを標準装備

 

とゆーとるのですが、正直オーリンズやナイトロンのくるくる具合と比べると?な感じで、ホントにこれでいいんかいな、という印象。とはいえ、どうせ取付ボルトはグリスアップして組むわけですからまあいいのでしょう。

 

ちなみにナイトロンのロッドベアリングはこんな感じ。

 

 

本当にノーフリクションといっていいくらいの手ごたえでくるんくるん回ります。さすが、高価なだけはあるぜナイトロン。

 

プリロードはピンスパナなり、丸棒なりを突っ込んで回す無段階調整タイプ。みためはナイトロンそっくりです。なぜか、回り止め用のいもネジが装着されています(オーリンズやナイトロンにはそんなものはない)。

 

このサスペンションはNINJA250SL用で、なぜかアッパー側に車高調整がついています。他の車種用だとロアー側についてるんですが・・・。ひょっとしたら単純に汎用化を意識したパーツ構成なだけで、ここで車高を調整することは想定していないのかもしれません。まあ、恐らくショック長で5mm程度は調整可能と思われます。


ロアー部。

 

ロアー部は伸びダンパの調整ダイヤルが付いています。これ、なんとなくオーリンズ風。

 

しかし、60段って多すぎますよね。

 

ちなみにこの段数は「一番締めこんでから、緩める方向にカウント」します。


リザーブタンク。

 

なかなか美しい仕上げのリザーブタンク。

 

残念ながら接続ホースの角度は固定されており、動かすことはできません。

 

とはいえ、あなたが「ガスは抜けないがホースは回る微妙な力具合」でボルトを緩められるならば、動かすこともできるわけですが・・・自己責任で・・・ではなく、やめときましょう。


付属品。

 

付属品も一通りついています。

 

  • リザーブタンク固定用のステー
  • それを取り付けるためのレンチ
  • プリロード調整用の丸棒

 

ただし、リザーブタンク固定用ステーはそのまま使うとリザーブタンクが傷だらけになりますから、薄手のラバーシート(手っ取り早くやるならビニールテープ)を用意して、タンクを養生して取り付けましょう。

 

ワタシの購入品だけの問題なのかもしれませんが、固定用ステーには2種類のキャップボルトが使用されていますが同梱されているレンチは1本だけ・・・お手持ちのレンチを使用しましょう。


極めて個人的なインプレッション

 

結論。MXかMSか?それが問題だ。

 

ということで(?)、装着したYSS MX366で筑波ツーリストトロフィーの特別スポーツ走行と本戦を走ってまいりました。

 

結論から言えば、「必要十分、ただし本当の必要最低限」のスペック、といった印象・・・。サーキットユースを考えるともう一つ上のランクのMS366がやはり必要か、といったところ。なぜか?

 

やはり

 

  • 圧ダンパ3段階

 

がネック。3段階といいながら最弱はあまりに弱すぎ、せいぜいサスペンションのナラシの時にしか使えません。YSSは意外と(失礼)部品精度はよいのであっという間に動きがよくなる(ナラシが終わる)のですが、そうすると圧ダンパ最弱ではショックが動きすぎてハードなサーキットランには使えません。

 

逆に最強はあまりに固すぎ、これも使えず(体重が90kgあるワタシが使えないんですから、大抵のヒトは最強をセレクトすることはありますまい)。

 

結局圧ダンパは中に固定。つまり圧ダンパ調整がない、と一緒。先に書いた

 

圧ダンパは伸びダンパの入れ方に合わせてバランスを取るくらい

 

の「バランスを取る」ができないんです。最強と最弱の幅が小さければ、使えたのに・・・

 

なのですが、意外とご存じない方もいらっしゃるようですが実際には伸びダンパをいじると圧ダンパも影響を受けます。伸びダンパは驚異の(笑)60段階ですから、MX366は安い、とにかく画期的に安いわけですから

 

  • リザーバータンク付きレーシングショック、伸びダンパ調整機能付き

 

と「割り切れる」のであれば問題はないと言えます。

 

でもねえ。やはりサーキットでは圧ダンパを微調整させたいことも多々あるわけで、もしYSSをサーキットユース目的で購入される方はMXシリーズを選ぶか、MSシリーズを選ぶかは熟考されることをお勧め致します。私の本音としては、やっぱり2万円プラスしてMSを推奨、ですね。

 

実際の走りは・・・YSSはリプレイスサスペンションとしての仕事をキッチリこなします!

 

とは言いつつ、MXでもしっかりと仕事をするサスペンションです。使い込む値打ちがあります。

 

ノーマルではどうしても収まらなかった筑波サーキット最終コーナーでのリアのピッチング、全開ノーブレーキで突っ込んでぐぐっと荷重をかけるとリアがぐわんぐわんと0.5秒周期程度でピッチングが続く現象はピタリと止まりました。こういう時は60段階の伸び(兼、圧)ダンパ調整機構は頼りになります。

 

しっかりと整備したスイングアームピポットと相まって1ヘアや2ヘアなどのタイトな「ブレーキングをしながらの進入→加速しながらの2次旋回・立ち上がり」でも暴れることもありませんし、負荷がかかる1コーナー立ち上がりでもきっちり踏ん張ってくれました。ここ、リアサスペンションがお仕事をしてくれないと・・結構滑ってひやりとします。

 

プリロード調整幅は十分に広いです。ただ、90kgの私が走って残ストローク3m程度ですので、もう一ランクバネレートを上げるかな・・・ただ、「動かして路面を掴む」がNINJA250SLの走り方だとイメージしていますので固めすぎには注意ですね。

 

実際には私のレベル(ブルーフラックとお友達)では、MXでも問題なし、が結論なのでしょう!

 

問題は?

 

リアがこのレベルになると、問題はフロント。なーんも調整機構がなく、どんなにオイルを固めても反応してくれないフロントのダンパ。

 

さあどうしましょうか?テクニクスのキットかな?でもアレ着けるとプリロードが調整できなくなっちゃうんですよね。恐ろしく高いし・・・。


Amazonでは売ってないんだな、これが。

さて、そんな「YSS リアシングルショック MX366 ニンジャ250SL用」ですが、残念なことに現時点、Amazonでは販売されていません。

 

通販であればWebikeさんで購入できます。

 


YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366

YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366 ニンジャ250SL

 

定価 ¥73,440 が ¥66,096。

 

も一つ上のMSグレード(圧ダンパが高速/低速に分かれているグレードは)

 


YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MSシリーズ】 MS366

YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MSシリーズ】 MS366 ニンジャ250SL

 

定価 ¥95,040 が ¥85,536。

 

2万円差は悩みますねえ。

 

最後に。

 

結局のところ、サスペンションはあくまでも道具であり、手段です。アレ、目的は?

 

もちろんサーキットにおけるタイムアップですね。

 

だとするならば、使いこなせないパーツは「バラスト」以外の何物でもありません。今の自分に最適な、必要じゅうぶんなリアサスペンションを悩んで悩んで見つけてくださいね!

 

私はもし「YSS リアシングルショック MX366 ニンジャ250SL用」に不満を感じるような腕になったら、ナイトロンを投入します。

 

SRX用のコイツを改造して・・・その時には、比較レポートをいたします。気長にお待ちください。

 

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