トランポへバイクを積むのは難しい。そうだウィンチを使おう。
トランポにバイクを積む。
慣れてしまえばなんて言うこともない作業です。ラダーを2本かけて右側のラダーにバイク、左側のラダーに人間が乗って、エンジンをかけて半クラッチを入れながらそろそろ上げれば、それほど難しい作業ではありません。でも・・・
やはり不安はあります。
- レースや練習で疲れた体で積み込むにはバイクは重過ぎる
- 半クラッチ入れたときにラダーがすっぽ抜けたらどうしよう
- 半クラッチでクラッチが痛まないか
サーキットであればチームメンバーや知り合いに手伝ってもらえばよいですが、自宅での積み下ろしは独りぼっちの作業。ここで「あ、ぐらっ・・・」が起きてしまったら・・・。
ちなみに私は愛機SRX250レーサーをラダーから落っことし、貴重なYSP限定トリコロールアッパーカウルを粉砕させたことがあります。やはり、危険な作業であることは間違いありません。
特にバイクを中央ないし右に積載するときには問題はないのですが、左に乗せようとすると厄介です。
私のサンバーは
- 運転席はリクライニングできるようにして、サーキットへ深夜到着した際の睡眠ポジションを確保したい
- 後部に棚を付けて積載量を確保したい
という下心がありましたので、どうしてもサンバーの左側にバイクを寄せて積載したいのです。そうすると、バイク用ラダーレールの左に人間用のラダーレールをかけるスペースはありませんし、押しながら一緒に荷台に乗り込むこともできません。
さあ。どうしましょう。
私はこの隙間に、一人でNinja250SLを積み込みたいのです!
使用する中華ウィンチ
というわけで、ウィンチを導入します。
このウィンチは恐らく中華製、Amazonで購入できる12vの激安ウィンチです。
そのお値段、スイッチ、モーター、ベース、ワイヤ&フック全てついて9,800円。。激安。
しかし安いなりにやはりデメリットはあります。それは騒音。ギア鳴りの音が半端なくうるさいです。
このウィンチには不思議遊星ギア機構という遊星ギアの一種の機構により、少ないギア数かつ同軸で大きな減速比を実現しています。その構造上ある程度のギア鳴りは避けられないのですがそれにしても音が大きすぎる・・・中を開けてびっくり。
グリス、入ってないじゃねえか!!いや、入ってないは言い過ぎか。まるでロウソクのロウのような、こびりついたカスのような物体しか入ってない・・・。これじゃ音が大きいのは当たり前。恐らくトルクも相当ロスしているでしょう。ここはきれいに洗浄して、スズキ機工 LSベルハンマーを叩き込みます。
これでだいぶましになりました。
とりあえず構造はシンプルで、スイッチもリレーを使用したタイプではなく電気が直接入力するタイプ。やたらでかくて、これはバイクを押しながらは操作できないでしょう。しかもモーメンタリスイッチ(押している時だけ動く、離すと止まる)なのでこのでっかいスイッチを押し続ける必要があります。
これは使えない。適当なものに取り換えましょう。
ウィンチの取り付け
では、ウィンチを取り付けます。
ハイエースなどの事例では、床板に直接、ないし板材を敷き詰めてその上にウィンチを固定している事例が多いのですが、こちらは何しろ軽バンサンバー、床にウィンチを固定する余裕はありません。したがって空中につるします。
ホームセンターでSS400(いわゆる生鉄)の角パイプを2本購入。とりあえず体重を思いっきりかけても曲がらないサイズ(いいのかこんなことで)。そしてボルト穴をあけて構造材の準備は完了。
へんなつけ方をすると車体がゆがみますから、サンバーの天井とサイドパネルのスポット溶接部のリップを使用します。
まず、サンバーの天井内装を取り外し、現れる左右上部の溶接部のリップに沿わせて60cmに切断したL字アングルをボルト止めします。6mmの強化キャップボルトを使用。
そのL字アングルに直行するように先ほど加工した各パイプを2本、固定しました。これで内装を戻して・・・
ウィンチをぶら下げれば(8mmボルト2本)、ウィンチの固定は完了です。
配線とスイッチボックスの取り付け
先に書いた通り、オリジナルのスイッチは使えないので交換します。
私が使用したのは「パナソニック(Panasonic) 押釦開閉器 露出形 (可逆) BH43030」。
- スイッチ内を直接駆動電流が流れるタイプで
- オルタナティブ(押したらストップを押すまでモーターは回り続ける)
の2点の特徴があります。220Vで30Aまで余裕がありますから(つまりは三相モーター用)、かなりオーバースペックでしょう。
併せて配線も太い余裕のあるものに取り換え、車体を這わせます。スイッチは思うところあって(?)車体後部に固定します。
安全のためにプラス側にはヒューズを、マイナス側にはマスタースイッチを取り付けます。マスタスイッチはコンソールのわきに配置し、通常は切っておきます。これで誤って車体後部のスイッチを操作しても、誤作動はしません。
フロントホイールクランプの取り付け
サンバーの荷台最前部、ちょうど装着したウィンチの下にフロントホイールクランプを追加します。
これもAmazonで格安で購入したものです。
青しか選べないのがデメリットといえばデメリットですが、お値段なんと5,200円。しかし、安くなりましたよねえ。確かコレ最初に世に出たとき、恐らく15年以上前ですがその時は5万円くらいしてたはずです。
ありがたいですが、いいのかなあ、と。
フロントホイールクランプは、バイクのフロントタイヤを差し込むことでバイクを固定、かつ直立させることができるものです。
タイヤを乗せる部分がシーソーのように動きます。タイヤを乗せて押し込むことでタイヤを左右から締め付ける力がかかり、かつ前方にある支えにより左右への倒れを防止することができます。これを使用することで、タイダウンでバイクを締め付けずともトランポの中でバイクを直立させることができるというわけです。
もちろん、このまま走行すると車内でバイクは倒れて大惨事になりますから、最終的にはタイダウンで締め付けます。
タイダウンフックの取り付け
最後にタイダウンフックを取り付けます。
8mmのアイボルトを4つ購入し(ホームセンターで売ってます)、運転席、助手席のシートレール後部の固定ボルトと交換します。すこしマットを切る必要があるかもしれません。シートレールはかなり強力に固定されていますから、このボルト穴はタイダウンフック取り付け用として申し分ありません!
これで準備は本当に完了です。
実際にバイクをウィンチで載せてみる
実際にバイクをウィンチで載せてみましょう。
で、感想・インプレッションなんぞを。
とにかく楽です!常に前方にワイヤーで引かれているということがここまで楽だとは。
左右の傾きだけ注力すればいいので全く力を入れる必要がありません。また、ハンドルのグリップ部左右からワイヤーを掛けていますのでワイヤーのテンションが掛かれば自動的にハンドルはウィンチの方向に引かれますから、慣れればハンドルから手を離した状態で積み込み・積み下ろしもできそうです。
まとめ
前も後ろもキツキツというかジャストフィットというか、サンバーに取り付けたウィンチとバイクの隙間もこんな感じ。
さすがサンバー、なのですがやはり250ccレーサー1台、+機材一式でちょうどいっぱいという感じですね。
でもこの状態で助手席も空いてますしなんなら2列目の右席は使用できます。これだけ積み込んで最大3名で移動できるというのは、流石サンバーというところでしょう。
さーてトランポも少しずつ使いやすくなってきた。走りこみますかね!